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1. 行列とは? 主な行列とその使い方

行列

使い方の例(逆行列、転置行列)

逆行列の使い方(例)

行列の演算にわり算はない。ただ、逆行列 A-1 を使った演算が、それに近い使い方となる。

例えばあるベクトル が行列 A の変換により y になったとする。

y の関係式は

y = A

逆に y から x を求めるには、逆行列 A-1 を両辺の左から掛け、⑥式を適用する。
(四則演算のわり算で逆数をかけるのに近い)

つまり、

A-1 y = A-1A =

よって

= A-1 y

(方程式の解を求める時にも、よく見るかと)

ただ行列の積の性格(A・BB・A)上、逆行列を掛ける”順序”は、左右両辺同じ方向から掛けなければならない。

参考までに、\(A \) が \(
A = \left ( \begin{array}{cc}
a & b \\
c & d
\end{array} \right ) \) の正則行列(2×2)の時、行列式、余因子行列と逆行列は、

\( det~A = ad – bc \) 、\( \tilde{A} =\left ( \begin{array}{cc}
d & -b \\
-c & a
\end{array} \right ) \) より、

\( A^{-1} = \displaystyle\frac{1}{ad – bc} \cdot
\left ( \begin{array}{cc}
d & -b \\
-c & a
\end{array} \right ) \) となる。

力学で使うのはほとんどの場合 3×3 行列までであるが、この行列の逆行列の成分計算は少し複雑になるため、計算間違い防止の意味も含め、ほとんどの場合ソフトに計算させる場合が多い。

ただ手計算が必要であっても、座標軸変換等での行列は正規直行行列での行列利用になるため、まじめに計算せずに、次章の転置行列から逆行列を求める場合が多い。

-> 逆行列&行列式のこれ以上の詳細は別記事(予定)で。。

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転置行列の使い方(例)

転置行列が道具として使いやすいのは、特にその行列が正規直行行列の場合。

逆行列計算が簡単になる。行列をひっくり返すだけ(ベクトル回転させる時によく使う)。

正規直行行列の⑧の性質を使っている。

  • 直行行列Aは、転置行列と逆行列が等しい
    A-1Atr ・・・⑧

一つの直行行列の場合には、大したメリットは感じないが、複数の正規直行行列を変換するような場合(行列の積)に有用なのである。

正規直行行列同士の積は正規直行行列である事(⑪式)も使って、その複雑な成分計算結果を、ただひっくり返すだけで逆行列にする事ができる。

楽である。

例えば、あるベクトル

θ(rad)回転
-> 続いてφ(rad)回転

した場合の回転行列、φθで考えてみる。
(θ φは共に正規直行行列、よってφθ も 正規直行行列)

二つの回転後のベクトルを y とすると、

xy に変換するには、

y = φ θ ・・・

となるが、逆に y から x を求めるとなると、φθ逆行列が必要になる。

が、まじめに計算する必要はない。

φ θ の成分計算後であれば、必要となる逆行列に転置行列を代入して

= (φθ)-1 y より
= ( φθ )tr y ・・・

<- 計算したφθ の成分の行と列をひっくり返すだけ

φθ を個別に処理するのであれば、

(φ)-1 、 (θ )-1 の逆行列を順にかけ

= (θ )-1 (φ)-1 y より
= (θ )tr (φ)tr y ・・・

<- φθ 個別に行と列をひっくり返して、その後成分計算

当たり前ではあるが、(⑦式より)⑭式と⑮式は等しい。

複数の行列の積を手計算で求めた後に、その逆行列成分を求める。。。となると気が遠くなるが、正規直行行列であれば心配無用。

転置行列が逆行列となる
(行と列をひっくり返せばよいだけ)。

追記

さて、続いてはこの行列自体の和、差、積について(割り算はないが、逆行列による積が似た感じの使い方になる)。

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