はじめに
虚数単位 i は、
・・・②
にて定義されている。つまり i2= -1。
マイナスの数に、マイナスをかけたらプラスの数になるはず。2乗してマイナスになる数はあり得ない。
この違和感と実の数に対する”虚”の数という”名前から、なにやら理解不能なイメージがともなう。
さてさて、
- “2乗してマイナスになる数はあり得ない”
先にも書いたが、これをもう少し正確に言えば、
- ”2乗してマイナスになる数は、実数ではあり得ない”
少し数字の世界(見方)を広げる必要がある。
元数と虚数
実数だけの世界に、同じ概念ではあるが別である世界からの軸を加え、世界を少し広げる。
直線から平面に広げる感じに近い。
この新たに加えた軸上の数が”虚数”、この軸の単位を i とする
この加えた虚数軸は実数軸に直行、当然互いに干渉しない(互いに独立した直行軸)。
ちなみに、実数と虚数というと、この世とあの世(見える世界と見えない世界)みたいなイメージがあるが、ともに実在する数。(同レベルで互いに独立。ただ世界自体が違うので他の世界が見えないだけ、と捉えておく)
さて、この”それぞれに独立した数の世界の数” を表すのに元数という言葉を使う。
この場合は、二元数という。
また、二つの世界を同時に表す数をZとすると
これは複素数と呼ばれ、この実数軸と虚数軸がなす平面は複素平面(ガウス平面)と呼ばれる。
(ちなみに、実数軸二軸で構成するゆがみのない二次元平面はユークリッド平面と呼ばれる)
ちなみに、実数軸x1、虚数軸x3の計4つの世界からなる数は、4元数(クォータニオン)と呼ばれ、空間上の回転を計算する時に使われる。
虚数の性格
このi を使ったZは面白い性質を持つ。
Z0=a0 +b0 i とし、繰り返し i をかけていくと
Z0= a0 +b0i -> Z1= a0 i – b0 -> Z2= -a0 – b0 i -> Z3= -a0 i + b0 -> Z4= a0 + b0i
さて今度は、この動きを複素平面で見る。
Zn (n=0,1,2,3,4) を複素平面上の座標でとると
- Z0 : (a0 , b0)
- Z1 : (a0 , -b0)
- Z2 : (-a0 , -b0)
- Z3 : (-a0 , b0)
- Z4 : (a0, b0)
になる(図①参照)。
このZnをベクトルとしてみれば、
事がわかる。このベクトルは複素ベクトルと呼ばれる。
ベクトルを逆方向に向ける事は180°回転させる事。つまり、i を二回かければよい。
これが虚数を使ったマイナスの意味(実数軸上)
( i2 = -1 で定義しているので当然といえば当然であるが。。。)
また、虚数軸は実数軸と同じ元数。同じレベル。つまり、虚数軸側についても全く同じ使い方ができる。
ついでに、この二元数 Z の表記( Z= a + b i )は、実数軸の二次元平面の任意ベクトルと見る時の感覚と似ている。つまり 、i 、 j をxy軸の正規直行基底とした時の、c = a i + b j 。(a b)が xy軸の座標値となるとの同じ。
違いは、i をかけるごとにぐるぐる回る事。