ねじ 3)-1. ねじ設定時のざっくり確認項目(計算しない時)

設計一般

部品を組んだり、ばらしたり。。。締結の時に知っておくと便利なコトを。

ちなみに、締結時のトルク設定方法の計算概要は、こちらにて。。。

締結部のざっくり確認(チェック項目)

さてさて理論計算はあるにせよ、実際には踏襲/模倣/経験ベースで設定する場合がほとんど。
->ねじの設定箇所すべて計算をしていたら、時間がなんぼあっても足りない。

ただしである。

じゃー何も確認しなくてもいっか!と言うわけではなく、前の仕様を踏襲するにしろ、模倣するにしろ、設計上何かしらの新規部分が含まれる場合、念のため変な設定/仕様になっていないかのチェックぐらいはしておいた方がよい。

今回は、このざっくりチェック時の観点をついでに補足。

チェック項目を絵で書けば、以下の6項目。
(締結部断面を思い浮かべて、ボルトの上からぐるっと回る感じ)

つまり、観点としては

  1. ねじの座面が安定的に確保されているか
    -> ボルトの下穴径が無駄に大きくないか(被締結体側が長孔の場合も含む)、干渉がないか、平面が確保されているか(軸直の平面が確保されているか(片当たりしないか)、R部に座面がかかっていないか)等々
  2. ボルトの軸力が保持できる構造(設計)となっているか
    -> 軸力により被締結体に変形、へたり、摩耗、座屈(陥没)等が起きないか
  3. ボルトに伸び代があるか
    -> 小さくてもNGではないが、ゆるみやすい。こちらの記事参照
  4. 材料強度に応じためねじとのかかり代が確保されているか
    -> こちらの記事参照、目安としては、めねじ材:鋼/アルミ展伸材->d-1.5d、アルミ鋳物->2d(d:ねじ径)
  5. 被締結体を固定する荷重に対してボルトの本数は十分か(軸力の総計は十分か)
    -> 目安としては、
    1. ボルトのせん断方向の保持荷重は、ボルト一本当たり軸力x摩擦係数
      (例えば、軸力1000kgf発生、摩擦係数0.1の状態で締結させてあるボルトであれば、保持荷重は100kgf。想定入力Gが10Gであれば、一発の荷重に対して保持できるのは1本あたり10kgfぐらいまで。疲労まで考えるのであれば、これがもっと下がる)
    2. ボルトの回転方向の荷重入力は、(ほとんどの場合複数本で締結してあり、またこのざっくりチェックのレベルであれば)あまり考えなくても大丈夫かと。
      ただ、ゆるめ方向のトルク(緩めトルク以上)が入力された場合、当然ボルトは簡単に緩むので、もし何かがボルト頭部に接触する等なんて場合は気をつけた方がよい、。。。
    3. 軸方向の外力入力に対しては、内外力比(締付け線図)に依存。上の伸び代の話と関連あり(こちらの記事
      ねじ一本の外力の分担荷重と発生軸力を比較すれば、真面目に確認するレベルか、そうでないレベルかの見通しは大体つく
  6. 設定されたトルクが、サイズに応じたトルクの範囲(目安トルク)から大きく逸脱していないか
    • 非常におおざっぱな目安のトルク範囲は以下。大体、
      • M6 ->10N・m 台、
      • M8 ->20N・m 台、
      • M10->30N・m 台、
      • M12->50N・m 台
        ぐらいを目安に記憶しておけば、変な設定値があった時に気づきやすい
        (ex:M6で20N・mなんて設定値があれば、あれ?ん??と頭の中で警報が鳴らせる)

この程度の確認であればそんなに時間はかからない。ざざーっと見ておいても損はない。

ついでに

”知っておいて便利なコト”ついでに、次の記事では、締結”後”に発生する問題の破断とゆるみについて

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