最後に、ねじを締結する時に知っていて役に立ったコトを備忘録代わりに、つらつらと。
標準トルクの目安と感覚
ねじのサイズに応じたトルク(目安トルク)の感覚はあった方がよい。
非常におおざっぱであるが、目安のトルクは以下。
ざっくりと、
- M6 ->10N・m 台、
- M8 ->20N・m 台、
- M10->30N・m 台、
- M12->50N・m 台
ぐらい(変な設定値があった時に気づきやすい)
(ex:M6で20N・mなんて設定値があれば、あれ?ん??と頭の中で警報が鳴らせる)
手勘トルク
どのレベルのトルク値でも良いが、手勘で締結できるようになっておくと組み立て時に何かと便利。
例えば、M6を10N・mで締めるとする。自分の場合、指の間に通したTレンチを右手片手で9割ぐらいの力で締めて、最後に左手を右手に添えてちょっいと力を加えて締めると、大体10N・m(誤差1割ぐらい)。
さらに、20N・mぐらいになると左手をちょっと離して、更に腹筋に力を込めてもう一込め。
ドライバータイプだと、どんなに頑張っても自分の握力だと5N・mも入らないとかとか。非常にざっぱな感覚でもソコソコのレベルで締結できるようになる。
<- 遊びながらでも一回やっておいて、自分なりの感覚はもっておいて損はない。意外と役に立つ。というのも、締結部全てトルクレンチで管理する訳じゃないしね。。。
組付けのときの雑学
全てのねじを2~3ピッチ仮組してから本締め
本締め前の部品同士にガタがある状態で、ねじは全て仮組(セット)しておく。
-> 全てのボルトを仮組しておく事により、取付けのガタを均質化させ、一つの締結穴に偏荷重が加わらないようにするため。寸法精度が悪い無理組み傾向の部品には特にね。。。
組付け部品に丸穴と長穴が設定されている場合、締結は丸穴から
1部品内で丸穴と長穴が設定されている場合、締結は丸穴から。
-> 組付け部品の取り付けは、丸穴を基準に設計してある。長孔は、部品の寸法バラつきを吸収させるための設定。よって、長孔部の締め付けは、丸穴で組付け部品の位置を決めた後に締める。
対角線で締め付ける
これはよく知られているが、念のため。
均等に締め付けられる(軸力がかけられる) = 締結面の面圧が均質になる
長さ違いの複数ボルト
ボルトが同一径、めねじが同一材であれば、勘合長はだいたい同じ。
組み立て時によくあるのだが、再組み立て時とかにどのボルトがどの締結穴用だったのかわからなくなった時には、これを使う。
つまり
- ボルトを適当に一旦セットする(締結穴に差し込むだけ、回さない)。
- 全てのボルトの出代(ねじ座面と被締結体のスキマ)がそろうように、ボルトを入替える。
- 出代がほぼそろえば、そのボルトと締結穴の組み合わせが正解。
- そのまま仮組へ移行。
厳格にはそろわないので、あくまでも大体の目安として。
というのも、ねじを規格品から選択している事を踏まえれば、1~2ピッチぐらいの出代違いは当然起こりうる。。
ちなみに、ボルト/ナットの締結の場合は、ボルトのナットからの出代を見る。
大体2ピッチ前後ぐらい出ていれば大丈夫。
5ピッチも出ていると、あれ?ボルト間違っているかも。。。と疑ってもいいかも(見た目も悪いし無駄なので、設計としてもあまりやらないはず、、が前提)
ねじ山破損防止
締結時のねじ山の破損原因は、まずはオーバートルク。防止策は単純に、規定トルク内で締める事。
あと、もう一つ忘れがちなのは、ねじ山の異物の嚙み込みによるねじ山の破損。
例えば仮組時。
ねじの谷間の異物に気づかずにそのまま仮組すれば、その異物をねじ山に送り込む事になり、結果ねじ山をつぶしながらの仮組となり、ねじ抜けにつながる。
手勘のレベルで言えば、Tレンチを使用していると、この時のトルク感覚は仮組なのにちょっとトルクが高いなぁぐらい。もともと組みにくい部品で抵抗があると、あり得えるレベルの感覚。
ただ、トルクがいつまでも規定トルクに達しないので、あれ?と思ってボルトを一旦外すと、、お!!めねじが上がっている!と。。。。
無理組み気味な部品で、締結がしづらい場合等は特に要注意。
異物噛み込みに気づくには、締結前のひと手間が役に立つ
- おねじ側は手でなぞり、ひっかかる様な異物が噛み込んでいないかの確認
(目視でもOKであるが、触った方が確実) - めねじ側はエアーで吹く(目視ができれば目視でも)
可能なら、仮締めを手締めでおこなうのが一番確実。
-> 抵抗なく勘合できればOK
まぁ、確かにプロのメカニックさんとかよく見ていると、締結前に自然な仕草でさらっとねじ山触っていたり、エアガンでねじ穴吹いたりしてるんだよね。。。
追記
ボルトについての備忘録(記事)は、一旦ここまで。。
他にも、覚えておこ!と思ったことがあった気もするのだが、、思い出したら随時追加(予定)。。