角度の単位
日常で使われる角度は度数表示が一般的(90°とか360°とか)。
これに対し、数学、物理では角度の単位はラジアン(radian)の表示が主に使用される(π表示)。
圧倒的に使い勝手が良いからである。
(はじめは書き方だけで、どっちでもいいじゃん。。と思ってたけど。。)
度数表示:360° -> ラジアン表示: 2πにも理由がある。
角度の単位のラジアン表記の見方と意味
まずは、全角の360°がラジアン表示で2π(rad)になる理由から。
ざっくりといえば2πである理由は、”円(半径=1)の全周長2π”を角度表示として使うため。
ラジアン表示では、この2πを度数表示での全周角360°に対応させて角度表示としている(360° -> 2π)。
これを踏まえれば、小学生の頃に覚えた円の周長Lを求める公式(半径r)
- \(L=(2r) \cdot \pi \)
( = 直径 x 円周率 )
は、ラジアン表示の角度を使えば
- \(L=r\cdot (2\pi) \) ・・・⓪
(= 半径 x ”半径1の円の全周長2π”)
(= 半径 x ”全周角2π (rad)”)
とも見る事ができる、とまずは頭の片隅においておく。
さて、ラジアン表示では、任意の角度θは全周角2πに対する割合から表示されることになるのであるが、その定義から同時に半径1の円をその角度で切り取った”円弧の長さ”も同時に示す。
(例えば、角度90°はラジアン表示でπ/2 (rad))、半径1(m)の円を角度90度で切り取った時の円弧の(短い方の)長さもπ/2(m))
また、⓪式の L=r・2πを使い、この全周角”2π”を任意の角度 θ(rad)で置き換えれば、半径rの円をθで切り取った円弧の長さになる。つまり、L’=r・θ (詳細次章)
これを使えば、円上を移動する点の実距離を示す弧の長さを簡単に求める事ができるので、回転運動を考える時に便利(楽になる)。
角度単位 ラジアン(rad)
円の全周長 La は、半径をrとすれば
\(L_a=\sf{r}\cdot (2\pi) \)
中心を含むように円を1/n((n>0))切り取ると、その切り取った円弧の長さLp (m) は、
\( \begin{align} L_p
&=(\frac{1}{n})\cdot L_a \\[6pt]
&=(\frac{1}{n})\cdot 2\sf{r}\pi \\[6pt]
&=r\cdot (\frac{2\pi}{n}) ・・・①
\end{align} \)
ここで、θ (rad) = 2π/n とすれば
\( L_p =\sf{ r} \cdot θ \) ・・・②
まとめれば、
例:ラジアン(radian)表記が便利な場面
さて、この円弧の長さを元にした角度表示(ラジアン表示)の利用例。
回転運動を表すために必要な”角速度”が、直線運動の”速度”と同じ定義から導く事ができる。
回転運動の場合は、移動距離は移動した点と点を結ぶ直線距離ではなく、実移動距離は弧の長さとなるが、ここに前述の ②式( Lp=rθ )を使えばよい。
つまり、平均速度の定義は、
平均速度=(実移動距離)/(時間) ・・・③
であるが、回転運動中の物体の速度vrにも同じ定義を使えば
vr=Lp / t (m/s) ・・・④
となり、これに②式を代入して
\( \begin{align} v_r
&=\frac{L_p}{t}\\[6pt]
&=\frac{r\cdot θ}{t}\\[6pt]
&=r\cdot \frac{θ}{t} ・・・⑤
\end{align} \)
この ”θ/ t” を角速度として
ω=θ/ t (rad/s) ・・・⑥
と定義する。
⑤式を書き直せば、
vr=rω ・・・⑦
と、簡単に回転運動の速度が表記できる。
-> ラジアン単位としての角度が、移動した点の単位円上の弧の長さを示しているため、回転運動の速度が簡単に表記可能(⑦式)
これが便利なとこ。(度数表示の角速度で計算、となると結構面倒。。。)