混乱する議論を落ち着かせるきっかけ
話合いの場で、各々が違う意見/主張をしだす、自分の主張は通らない、何故か理不尽な結論に向かっているのにそれに流されそう、、もしくは、単に話がまとまらなさそうな感じがしない、等々、そんな場面に直面した経験は誰にでもあるのではないかと。
そんな混乱する議論を整えるのに、一つの有効な手がある。
単に、”そもそも問題って何だっけ?”と皆に問う事である。 ただし、ポイントがある.
問題とは何か?言葉の意味と定義
そもそも、”問題”がある状態とは、
- ”あるべき状態” (正規とする状態、目標/目的 等々)
- ”認識されている現状”
の1と2にギャップがある状態(ずれ)。
つまり、この二つそれぞれに対して皆がおなじ理解をしていないと、同じギャップ(問題)について話している事にはならない(->議論は自動的に混乱する)
(ちなみに、ギャップが小さい場合は小さな問題、大きいギャップであれば大きな問題)
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”問題がある”状態
さて”問題がある”状態となるのは、誰かがそのギャップを言い出した時である。
ところが、である。よくあるのが、問題がある!と声をあげるものの、その問題自体を定義しないまま、問題だ vs 問題じゃない / おおきな問題 vs たいした問題じゃない、議論に突入する。
こうなると議論をしているように見えるが、何について話をしているか、どこの結論に向かっているのかわからなくなる可能性が高まる。
—例えば—
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xxxは問題!大問題
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xxxなんて、他でもあるでしょ。何が問題?
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xxxは問題かもしれないけど、大したことない。問題視する事じゃないでしょ
この場合、”認識されている現状”については全員同じであるが、”あるべき状態”について理解はバラバラ。
原因は、各々が当たり前と思っている事が違うが故 である。
(要は個々が”正規だと思っている状態”が異なることが原因)
また、各々当たり前(常識)だと思っているが故に、この部分は話さない
よって、そのまま議論を進めても、
各自自分だけで定義できる問題(ギャップ)を主張するだけ
-> 他の誰もその人が問題としている事(何と何のギャップ)なのか伝わらない
-> 問題が共有化されない
-> 議論は混乱する。
-> この場合、結果は声の大きい人が勝つ。
さてさて、こうなった時には、個別の意見をいちいち聞く必要はない。つまり、”正規とされている状態”が決まっていない議論は、
(どちらが正しいのかから議論を始めるのは無意味)
共有される”正規とされている状態”を何にするかを確定しなければ、混乱に拍車がかかるだけ(混乱しても、議論が戻る先がない)。
また、話を脱線させるのは容易。結論が気に入らなくなりそうであれば、なんぼでも手はある。
(”そもそもさぁー”、”それはありえないでしょ”、もしくは、詭弁/強弁の利用等々、)。
ただ、混乱に付き合う必要はない。
混乱を整えるきっかけ
さてさてもし混乱した場合に、場を整合するきっかけ(話を切り替えるきっかけ)は。。。
問題って何だっけ?
と問う事。
この問いの目的は、”各々の個別の常識”ではなく、問題の定義として”正規とする状態”を一つにすること。
-> 同じ土俵(ベース)で話す
もちろん、”認識されている現状”にも差がある場合は、そこも整合しなければならない。
正規とする状態と”認識されている現状” の二つが整合されてはじめて問題(ギャップ)が決まり、議論を整えられる。
ついでに、、
気を付けないといけない事は、他者による”正規とされている状態”の認識のすりこみ。
当たり前だろ?そんなの常識じゃん!等々の決めセリフで断言する人には要注意。。。
要は共通認識が取れていない段階での議論において、問題を大きく見せたり、小さく見せたりは自由自在であり、このすり込みを受け入れてしまうと、自分の望まない結論まで自動的に説得されてしまう事もある。
議論の誘導でよく使われる手の一種
”正規とされている状態”をうまくすり替えれば、問題がなかったものにする事も可能なのである。
ご注意のほど。。
まとめ
さて、再度。混乱しそうな話し合いでは、問い/確認するのは以下の二つ。
(というか、この二つだけである。)
- 正規とされる状態の認識が、皆同じか?
- 認識されている現状への理解が、皆同じか?
この二つの確定により、はじめて共通の問題が定義できる。
(問題のすり替えにも対応できる)
きっかけは、問題って何だっけ?の問いである。
正規とされる状態に合意&皆と現状認識が同じであれば、その後の議論(解決までの課題の設定)は手段がなんであれ、ゴールへの方向ぶれない。大枠何とかおさまるものである。