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1. 対数の基本的な見方:対数のしくみと足し算、引き算について

対数

はじめに

前の記事内の対数の続きから。。。

ざっくりと、対数はべき乗の肩に乗った値(指数)だけ取り出して、色々計算する話だと思っておけば、基本的な性質はだいたい理解可(かと)。(例:\( a^x \) であれば \(x\) の話。)

で、べき乗を切り口にした対数の理解を以下に、、、

対数について

指数と対数の関係

べき乗表示では、任意の正の値 \( y \) は、底\(a \)と肩に乗る指数 \(x \) を使えば指数関数として、

  • \( \textcolor{#0404B4}{y=a^x } \)

の型で表す事ができる 。
( \(x \) は自然数に限らないが、\( y>0、a>0、a≠1\) の条件あり、& \( y \) が負の時は、\( \textcolor{#0404B4}{y= – a^x }を使う \) )

さて、この指数部分の \(x \) を取り出して利用するのに、\(x \) と \(y \) を入替え表示する関数が定義されており、

  • \( \textcolor{#0404B4}{x=\log_a y} \ \) <- この型の関数表示が対数

の形で表示される。
(べき乗の指数と対数は値としては同じ意味(べき乗の時に肩に乗っているか、対数で外にでているかの違い))

その入れ替え関係は、

  • べき乗表示 : \({\color{red}{y}}={\color{green}{a}}^{\color{blue}{x}} \) \({\color{gray}→} \) 対数表示 : \(\log_{\color{green}{a}} {\color{red}{y}}={\color{blue}{x}} \) ・・・①
    (” \( y \) は\(a \)の\(x \)乗 ( \( a^x \) )” と読んでいたのが、 ” \(a \) を \( y \) にする対数(\( \log_a y \))は \(x \) ” になる。)

-> 関数としては、\(x \) と \(y \)をひっくり返しただけの逆関数の関係
(\( \textcolor{#0404B4}{y=a^x } \) と \( \textcolor{#0404B4}{y=\log_a x}\) が逆関数と書く方がいいかも。。)

注記:自然対数と常用対数

よく使う対数に自然対数と常用対数がある。これは、底のaに

  • ネイピア数\(e\)を使った対数が”自然対数”: \( \ln y \ (=\log_e y) \)
  • 10を使った対数が”常用対数”:\( \log y \ (=\log_{10} y) \)

で、それぞれ簡易表記するのが一般的 (要は底が \(e\) と 10 の時は底の記載は省略可能)

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対数の基本的な性質

さて、本題。

なんかlogとかの記号が入ってくると脳みそが面倒くさいモードに入りそうになるが、べき乗表示の指数部分を抜き出していると考えれば、その性質は”指数の性質”とほぼ同じ、意外とシンプル。

引き続き、べき乗の指数と関連付けながらの備忘録

対数の性質① : a を1にする対数 は 0 (乗)

対数の性質としてある \( \log_a a=0 \) の中身について、

これは、べき乗(指数)の性質 \(a^{0}=1 \) 、 \( a \)が何であれ0乗は1” を対数で示しているだけ。

対数的に読むのであれば、

-> ”\( a \)を1にする対数 は 0 ”(乗)

  • べき乗表示 : \( {\color{green}{a}}^{\color{blue}{0}}={\color{red}{1}} \) \({\color{gray}→ }\) 対数表示 : \(\log_{\color{green}{a}} {\color{red}{1}}={\color{blue}{0}} \)

まぁ、指数の性質そのままなので、読み方(log記号)に慣れるだけ。

対数の性質② : a を a にする対数は 1 (乗)

対数の性質としてある \( \log_a a=1 \) の中身について

これもべき乗でいえば、 \( a^1=a \) 。単に ” \( a \) の1乗は \( a \)” と言っているにすぎない 。

対数的に読むのであれば、

-> ” \( a \) を \( a \) にする対数は 1 ” (乗)

  • べき乗表示 : \({\color{red}{a}}={\color{green}{a}}^{\color{blue}{1}} \quad {\color{gray} → } \) 対数表示 : \(\log_{\color{green}{a}} {\color{red}{a}}={\color{blue}{1}} \)

これも記号以外、中身は指数そのまま。。

対数の性質③ : a を a^n にする対数 は n (乗)

対数の性質としてある \( \log_a a^n =n \log_a a =n \) の中身について

これもべき乗でいえば単に ” \( a \) の \( n \) 乗は \( a^n \)” と言っているにすぎない (\( a^n=a^n \)) 。

対数的に読むのであれば、

-> ”\( a \) を \( a^n \) にする対数 は \(n \) ”(乗)

  • べき乗表示 : \( {\color{red}{a}}^{\color{red}{n}}={\color{green}{a}}^{\color{blue}{n}} \ \ {\color{gray} → } \) 対数表示 : \(\log_{\color{green}{a}} {\color{red}{a^n}} ={\color{blue}{n}} \)

さて、これには対数計算でよく使う展開方法が含まれている。
対数内の \( a^n \) の \(n \) 乗は明らかに対数を示す事と \( \log_a a = 1 \) をあわせて使えば、

  • \(\log_{\color{green}{a}} {\color{red}{a^n}}={\color{red}{n}} \cancel{\log_{\color{green}{a}}{\color{red}{a}}} ={\color{blue}{n}} \)

機械的に対数計算を簡略化できるので結構使う。こんな感じ、 \( \log_2 8 = \log_2 2^3 = 3\log_2 2 =3 \)

これも、慣れるだけ。。

対数の足し算と引き算のしくみ、ついでに底の入れ替えについても

対数の足し算

対数の足し算としてある \(\log_a x+\log_a y=\log_a xy \) についての中身

これも指数観点でみれば当たり前。それぞれべき乗に一旦戻して、

  • \( \log_a x =X\) とすれば、\( x=a^X \)・・・①
  • \( \log_a y =Y\) とすれば、\( y=a^Y \)・・・②
  • \( \log_a xy =Z\) とすれば、\( xy=a^Z \)・・・③

ここで\(① \times ②\)を計算すれば、\( xy=a^X・a^Y=a^{X+Y} \)、これに③を使えば、\(xy=a^{X+Y}=a^Z \)、指数部分から明らかに

\(X+Y=Z\) 。これを①~③ を使って対数表示に戻せば

  • \( \log_a x+\log_a y=\log_a xy \)

対数のひき算

次は、対数の引き算としてある \( \log_a x-\log_a y=\log_a \dfrac{x}{y} \) についての中身

これも指数では逆数をマイナス値で示す事を踏まえれば、足し算の時と流れは全く同じ。再度、それぞれ一旦べき乗に戻して(①②は足し算の時とおなじ)、

  • \( \log_a x =X\) とすれば、\( x=a^X \)・・・①
  • \( \log_a y =Y\) とすれば、\( y=a^Y \)・・・②
  • \( \log_a \dfrac{x}{y} =Z\) とすれば、\( \dfrac{x}{y}=a^Z \)・・・④

ここで\(\dfrac {①}{②} \)を計算すれば、\(\dfrac {x}{y}=\dfrac{a^X}{a^Y}=a^{(X-Y)} \)、これに④を使えば、\(\dfrac {x}{y}=a^{(X-Y)}=a^Z \)、指数部分から明らかに

\(X-Y=Z\) 。これを①②④ を使って対数表示に戻せば

  • \( \log_a x-\log_a y=\log_a \dfrac{x}{y} \)

底の入れ替え

最後に対数のちょっと変わった展開方法 \( \log_x y=\dfrac {\log_a y}{\log_a x} \) の中身について

これも流れは対数の足し算/引き算と大枠同じ。それぞれ一旦べき乗に戻す(①②は足し算の時とおなじ)、

  • \( \log_a x =X\) とすれば、\( x=a^X \)・・・①
  • \( \log_a y =Y\) とすれば、\( y=a^Y \)・・・②
  • \( \log_x y =Z\) とすれば、\( y=x^Z \)・・・⑤

ここで⑤に①②に代入すれば、\(a^Y=(a^X)^Z=a^{XZ} \)、指数部分から明らかに \(Y=XZ\) 。

これから \(Z=\dfrac{Y}{X}\) 。これを①②⑤ を使って対数表示に戻せば

  • \( \log_x y=\dfrac {\log_a y}{\log_a x} \)

これ、任意の底に入れ替える事ができるので、計算展開で結構役にたつ。

ちゃんちゃん

最後に

一通り対数を指数とリンクさせながら説明。まぁ、指数も対数もまぁ同じちゃおなじやね。。

指数/対数での展開作業違いを簡単な例を使って。

例えば、\(x=\log_4 \sqrt{32} \) と \(4^x=\sqrt{32} \) (この \(x \) は全くの同義である事は前述の通り。)

さて、

指数での展開であれば、\( 2^{2x}=\sqrt{2^5}=2^{\frac{5}{2}} \) の指数部分から \( 2x =\dfrac{5}{2} \) 、よって \( x =\dfrac{5}{4} \)

対数での展開であれば、

\begin{align}
x &= \log_4 \sqrt{32}=\log_4 (4^2 \times 2)^\frac{1}{2} = \dfrac{1}{2} (\log_4 4^2+ \log_4 2 ) \\
&= \dfrac{1}{\cancel{2}} \cdot \cancel{2} \cancelto{1}{\log_4 4} + \dfrac{1}{2}\dfrac{\cancelto{1}{log_2 2}}{\cancelto{2}{log_2 4}} = 1+ \dfrac{1}{4} =\dfrac{5}{4}
\end{align}

当然、両方とも \( x =\dfrac{5}{4} \) となるが、 \(x \) を求めるのに、対数だからといって対数の展開からしなければならない理由はないし、指数だからといって指数からの展開で求める必要は全くない。

-> 慣れている/使いやすい方に置き換えて計算してしまっても。どのみち答えはいっしょ。

まぁ、対数の展開で求める方が展開方法がキッチリしているので計算は機械的に進む <- 計算間違えはしにくい

指数の基本的なトコロについては以下に

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