前回の記事は命題(主張)の定義とその型の言い換えによる誤りについて
今回から三段論法、それを使った詭弁について
三段論法の基本の定義から
まずは三段論法の定義から
三段論法の基本
ある前提から結論を導くために理詰めで説こうとする時に、よく用いられるのが三段論法である。
この中の媒概念とは
の事。構成は、
第一段(大前提)・・例:BはCである。
第二段(小前提)・・例:AはBである。
第三段(結論)・・ 例: 故にAはCである
(媒概念はB)
の形態をとる。例えば、
図に書くと、
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また、この三段論法の構成は、
- 各段の言い換えから発生する ”三段論法の格”
- 前述の(肯定文or否定文)/(全称文or特称文)の組み合わせ違いによる”主張の型”
から構成される
三段論法の格(主語の入替え)と主張の型
三段論法の格として、前提の各段(第一段&第二段)の組み合わせ違いにより、以下の計4格存在する。
注:第三段(結論)は全て”故にAはCである” とした場合(下図)
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この各段に、命題(主張)の型(全称文or特称文、肯定文or否定文)(前述)
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が組み合わされる。
合計で256通りの組み合わせの内、論法として正しいのは24通りのみ。
( 全256通り= 格4(三段論法の格が4通り)x型43(主張の型が各4通りで三段の組み合わせ))
以上を踏まえ、 つづいて三段論法による誤りの推論
三段論法の誤り
否定二前提の虚偽
前提が二つ(大前提と小前提)とも“否定”の場合、結論は正しいとも誤りともいえない。例えば、
図でかけば、
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この場合「推論の形式(考え方)として誤り」と見る。
不当肯定の虚偽
前提のどちらかが否定文であれば、結論も否定文でなければならない。もし結論が肯定文であれば、論法に誤りがある。例えば、
多くの場合明らかにおかしいため気づく。詭弁には使えない。
特称二前提の虚偽
前提が二つとも特称文「ある~」の場合、結論の真偽は保証されない。
これも否定二前提の虚偽と同様推論の形式として誤り。例えば、
(そうかもしれないし、そうでないかもしれない。)
(「あるユダヤ人はうそつきではない」 も成立する。つまり、これだけの前提だけでは不十分)
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媒概念曖昧の虚偽
媒概念に、二通りの意味を当てはめる事は詭弁となる。例えば、
この場合、媒概念 ”Nothing” に二通りの意味を当て込んでいる。これもよく詭弁で使われる。
いつの間にか使っている言葉の定義(意味)を微妙に変える、これは注意していないと気づきにくい
四個概念の虚偽
上の媒概念曖昧の虚偽もこの四個概念の虚偽に含まれる。
上の例では、媒概念である”Nothing”(B)に、二つの意味(B1とB2)をもたせて
と三段論法にA、B1、B2、Cの4つの概念を使ったため虚偽となった。
これと同様に媒概念 B ではなく A,C を二つの意味につかった場合も当然虚偽となる。
例えば、
大前提の”女”を”一人の女”と正確に定義してあれば立派な三段論法であるが、曖昧な定義が故に結論の”女”に”女遊び”という意味が発生している。これが詭弁(単に日本語の使い方が雑なだけの場合もあるが。。)。
詭弁が含まれていると”おや?”と気づく事が多いが、どこがおかしいのかはすぐにはわからず話に流されてしまう。要注意。
さて、三段論法にもそれなりの基本則がある。次の記事にて