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4. 三段論法の規則(包むという事の定義)と、その誤りを利用した詭弁

詭弁術

前回の記事は三段論法、それを使った詭弁について

今回は、三段論法の規則(包むという事)の定義と誤りを利用した詭弁について

三段論法内の命題(主張)の規則

命題における概念:”包む”ということについて

一つの命題の概念にて「包まれている」「包まれていない」に考慮することが役に立つ。

概念Xが含まれる場合とは・・・「(全称文)全てのXは~」もしくは「(否定文)~はXでない。」の場合
概念Xが含まれない場合とは・・「(特称文)あるXは~ 」もしくは「(肯定文)~はXである。」の場合

つまり概念Xを概念A&Bにして、図にかけば
下線あり:概念が包まれる場合)、

つまり、

主張Pの中で、ある概念 X が “含まれている” とは、

  • 概念Xにて主張される”全てのもの”が、その主張Pに関係している事である。
    (要は主張Pにおいて、概念Xが限定できるかどうかという事)

主張の型でいえば、

例えば

「ある犬は子犬ではない」(上図④)といった主張の場合、
「ある犬」は(どんな犬かは)限定されていない(=含まれない)が、「子犬ではない」は子犬ではない事は限定されている(=含まれる)

「あるトラは白色である」(上図②)という主張になった場合、
「あるトラ」は(どんなトラかは)限定されていない(=含まれない)、また「白色である」はトラ以外の白色であるモノが含まれるため限定できない(=含まれない)。

また、

「全ての犬は猫ではない」(上図③)という主張では、
「全ての犬」は全て限定できる(=含まれる)、「猫ではない」は猫ではない事が限定されている(=含まれる)

「全ての子犬は犬である」(上図①)という主張では、
「全ての子犬」は全ての子犬は限定されている(=含まれる)が、「犬である」は子犬以外の犬も含まれるため限定されない(=含まれない)。

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さてさて、これらの命題のつくりを踏まえ、三段論法とした時には次の規則がある。

三段論法を組む時、命題内の概念を ”包む” 事の規則

媒概念を包まない虚偽:媒概念は二つの前提の少なくとも一方で、包まれていなければならない。

「ソクラテスの妻は人間である」&「ある人間は哲学者である」
故に「ソクラテスの妻は哲学者である」は”偽”(詭弁)

媒概念「人間」がどちらの前提においても包まれていない(限定できていない)。

もし聞いていても、ん?その話の流れはおかしいだろうと気づきはするが、一応図でかけば、

-> 結論で限定できないのはこの図の通り。この種の詭弁を「媒概念を包まない虚偽」という。

この場合、小前提で「全ての人間は・・・」とすれば成立つ

「ソクラテスの妻は人間である」&「全ての人間は哲学者である」
故に「ソクラテスの妻は哲学者である」は”正”

媒概念「人間」が小前提にて包まれている(”人間”が限定できている)。

聞いていてもすっきり頭に入る。図でかけば

となる。

不当に包む虚偽:前提で包まれていない概念を、結論で包んではいけない。

前提で包まれていない概念を、結論で包んではいけない。このパターンも詭弁

「ソクラテスの妻は男ではない」&「ある男は子持ちである」
故に「ソクラテスの妻は子持ちではない」は”偽”(詭弁)

前提のどちらでも包まれていない概念「子持ち」 を、結論で包んでいる。
(媒概念「男」は大前提で含まれてはいるが、、)

この種の詭弁を「不当に包む虚偽」という。

これも論理の誤りはともかくよく聞いていれば、たぶん何かおかしいと気づくかな。。

まとめ

要は、大前提、小前提の命題において、主語が”全ての~”、述語が”~でない”の概念は、”包まれている”(限定される)。この”包まれている/いない”概念は、三段論法内にて

  • 媒概念は二つの前提の少なくとも一方で、包まれていなければならない。
  • 二つの前提のどちらでも包まれていない概念は、結論で包んではいけない。

である事が、三段論法で正しい結論を導く規則のひとつ。

さてさて、三段論法にも色々な変形型/複合形がある。次の記事にて

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