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1. オールドシネレンズの覚書 (ケラレの目安):まずはフィルム規格から

オールドレンズ

はじめに

シネマレンズをデジカメで使う時に規格の差からくるケラレ(周辺減光)についての覚書
(たいして調べずに買って、ん?あれ?思ったよりケラレるな。。。ってなったのがきっかけ)

35mm/16mm/8mmフィルム用のレンズをデジカメで使用した時のケラレの目安を最初にかいておくと。。。

  • 35mmシネレンズ
    APS-Cまでは、どの35mmシネレンズでもケラレはほぼ”なし”
    35mmフルサイズ機は、レンズ次第
    (イメージサイクル次第:特に広角寄りのレンズ(50mm以下)要注意)
  • Cマウントレンズ (16mmシネ用カメラのユニバーサルマウント)
    1″型センサー(Nikon1のみ)までは、どのCマウントレンズでもケラレはほぼ”なし”
    マイクロフォーサーズでは、レンズ次第
    (イメージサイクル次第:特に広角寄りのレンズ(25mm以下)要注意)
  • Dマウントレンズ (8mmシネ用カメラのユニバーサルマウント)
    1/2.3″型センサー(PentaxQ,Q10のみ)では、どのDマウントレンズでもケラレはほぼ”なし”
    1/1.7″型センサー(PentaxQ7,QS-1のみ)では、レンズ次第
    (イメージサイクル次第:特に広角寄りのレンズ(12.5mm以下)要注意

調べていると、イロイロと規格の背景とか概要とかが知る事ができて面白かったので、以下に詳細を。

まずは基準となる35mmフィルムから

同じ35mm幅のフィルムを使っていても、1コマの画像のサイズは映像用と写真用で異なる。

35mmフィルムの映画用フォーマットと写真用フォーマット

映画用フォーマット ”35mmシネサイズ” と 写真用フォーマット ”ライカ版” (ライカフォーマット、35mmフルサイズ) の違いについて

  • 映像撮影に使われる”35mmシネサイズ” とは、
    35mm幅のフィルムを”縦向き”に使用し、映像用として規定したサイズ
    (1コマサイズ :24mm(横) x 18mm(縦) ← これが基準)
  • 写真に使われる”ライカ版” (ライカフォーマット)とは、
    ライカが同じ35mm幅のフィルムを”横向き”に使用し、 写真用として規定したサイズ
    (1コマサイズ :36mm(横) x 24mm(縦) ←後述)

ライカが規定した1コマのサイズは、

  • 35mmシネサイズの1コマの横幅をそのまま縦幅に → 縦幅24mm
  • シネマ2コマ分を1コマして横幅に→ 横幅36mm (=18mmx2)

この1コマサイズ(36mm(横) x 24mm(縦) )が、”ライカ版 (ライカフォーマット)” のサイズ。

つまり、両規格とも使用するフィルム幅は同一の35mmであるが、同じ幅のフィルムを映像用では縦方向で使用、写真用では横方向で使用。

露光面である1コマのサイズが異なる。

で、

このライカ版と同じサイズのフォーマットを画像センサーにもつデジカメが、 ”35mmフルサイズ” 機と呼ばれる。

→ 35mmフィルム時代の写真の露光面サイズ と(フルで)同じサイズという意味なのか、デジカメのセンサーは、それよりも小さいAPS-C、4/3型から始まっているのでその意味での”フル”なのか不明。。。

  • 写真用 ”ライカ版 (ライカフォーマット)” ( 35mmフルサイズ)
    露光面サイズ 36mm x 24mm
  • 映像用 ”35mmシネサイズ”
    露光面サイズ 24mmx 18mm

35mm 映像用フォーマット / 写真用フォーマット の比較

差異は

  • 露光面サイズが違う:
    • 35mmシネサイズ /ライカ版 = 24mmx18mm / 36mmx24mm
      • 二コマを一コマにしているので 撮像面積は単純に倍(x2)
  • 縦横比が変わる:
    • 35mmシネサイズ /ライカ版 = 4:3(1.33) / 3:2(1.5)
  • レンズに求められる最小イメージサークル(露光面の対角線長)も当然変わる
    • 35mmシネサイズ /ライカ版 = 30mm / 43.3mm

デジカメでなんで縦横比の違うセンサがあるんだろうと思っていたら、、こんなところに背景があったのかと。

要は、縦横比 3:2 のセンサーはライカフォーマットから派生したセンサー(例:APS-C)、4:3のセンサー比は映像用の露光面規格サイズから派生したセンサー(マイクロフォーサーズとか1/1.7型とか)

映像用 35mm、16mm、8mmフィルム

つづいて、映像用35mm/16mm/8mmフィルムの規格について

映像用フィルム幅には、 35mm、16mm、8mmのサイズがある
( 35mmフィルムの約半分が16mm、さらにその半分が8mmにしたのが規格のベース (単に縦半分に切っているだけ))

用途は、35mmフィルムが映画用、フィルム幅半分の16mmも商業用ではあるがロケ、ドラマ等々カメラの小型化が必要な場面で16mmフィルムカメラが用いられたらしい。さらにその半分の8mmフィルムはより小型化されたカメラに使用され、主に個人用の映像撮影に用いられた。

さて、それぞれのカメラで使用されるレンズのざっくり目安は

  • 8mmカメラ用レンズ : Dマウントがユニバーサルマウント
    ←Dマウントレンズと書いてあれば8mmカメラ用
  • 16mmカメラ用レンズ : Cマウントがユニバーサルマウント
    ←Cマウントレンズと書いてあれば16mmカメラ用
  • 35mmカメラ用レンズ : ユニバーサルマウントはなし、各カメラ会社専用マウント
    ←16mm/8mmカメラ用レンズでもカメラ会社専用マウント(Arriflexとか)もあるので念のためCheck要

ケラレ(周辺減光)の見通しを立てるためにレンズ毎のイメージサークルの下限値を設定

シネレンズのイメージサークル径の下限値

さて、16mm/8mmフィルム規格にはいくつか露光面サイズ違いがあるが、、

”対応レンズのイメージサークル直径は、各規格における露光面の最大サイズは最低限確保されているはず”、の前提を基にして、、

各々の規格の中から最大露光面サイズをピックアップし、各マウントレンズのイメージサークル直径の下限値として設定しておく。
(確保していなければ、ケラレ(周辺減光)が発生するので。。。)

35mm規格も追加すれば、各イメージサークル径は

  • 35mmフィルムシネマ規格:露光面1コマサイズ:24mm×18mm
    対角線長 30mm = 35mmシネレンズのイメージサークル径(想定下限値)
  • 16mmフィルムシネマ規格:露光面1コマサイズ (最大:スーパー16規格):12.52mm×7.41mm
    対角線14.5mm = Cマウントレンズのイメージサークル径(想定下限値)
  • 8mmフィルムシネマ規格:露光面1コマサイズ (最大:スーパー8規格):5.79mm×4.01mm
    対角線7.0mm = Dマウントレンズのイメージサークル径(想定下限値)

写真用ライカ版規格、APS規格

写真用 ”ライカ版 (ライカフォーマット)” ( 35mmフルサイズ) の露光面サイズは、前述の通り 36mm x 24mm

APS規格はフィルム幅を36mm→24mmとした1996年当時の新規格(APS規格)にて規定されたサイズ
(APS規格:AdvancedPhotoSystem規格)

ベースとなるAPS-H(High vision)サイズ(16:9) の左右をトリミングして、ライカ版と同じ縦横比(3:2)にしたサイズにしたのがAPS-C(Classic)サイズ
(縦幅は同一)

(露光面のサイズ:APS-H(30.2×16.7mm (16:9)) → APS-C (25.1×16.7mm (3:2))

フィルム幅が36mm→24mmのサイズダウン(2/3)に比例して、APS-Cの1コマの縦横長もライカ版に対してだいたい”2/3”の長さ

またパノラマ用サイズとして、APS-P (P:Panorama、30.2×10.1mm (3:1)) (← APS-Hの上下をトリミング) というサイズも存在

ライカ版・APS-C用レンズのイメージサークル径の下限値

露光面1コマのサイズから各レンズのイメージサークル径の最小値は

  • ライカ版規格:露光面1コマサイズ:36×24mm
    対角線長 43.3mm = ライカ版用レンズ(フルサイズ)のイメージサークル径(下限値)
  • APS-C 規格:露光面1コマサイズ:25.1×16.7mm
    対角線28.4mm = APS-C用レンズのイメージサークル径(下限値)

まとめ

レンズのイメージサークルをまとめれば、

これらを各シネマレンズのイメージサークル径の下限値として、デジカメの各センサーサイズ規格と比較することにより、”ケラレ発生有無のざっくり見通し”を立てるのが、今回の一連の記事の目的

次の記事は、”デジカメのセンサーサイズ規格” のまとめ

最後が、各シネマレンズのイメージサークル直径とデジカメのセンサーサイズ比較からの ”ケラレ発生有無のざっくり見通し”

追記

Sony α7Riii にアダプターつけて保有のPentaxレンズ使っていたが、それまでのPentax Kマウント縛りの中では使いようがなかったシネレンズでも遊べることに気づいた。(遅ればせながら。。← α7が発売された当初から盛り上がっていたみたい、サイト情報も一杯あるのでありがたい)

しかし使ってみると、確かにおもしろい。使ってみるとよくわかる。価格も手ごろなレンズが多いし、写りが結構好みなレンズもまだまだ流通している。面白くなってシネレンズ繋がりで、Pentax Q7を使ってお手頃なC&Dマウントレンズにも何本か手をだしはじめたのだが、ネット調べていても当たり前を知らない自分には ”ん?” が多かったので、まずは忘れないようにあわせて覚書化しておこうと

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