はじめに
(前記事(ジャイロ効果)は、こちら)
ジャイロ効果に引き続き、慣性力の一つ”コリオリの力”について、物理式なしで解説。
コリオリの力は、物体の動きは変わらないが、見ている観察者の座標系が違う故に発生している様に見える慣性力である。
例えていうなら、ハンマー投げ。
観客から見ると、選手が手を離した瞬間、ハンマーは軌道円の接線方向に真っ直ぐ飛んでいくが、回転しているハンマー投げの選手から見ると、ハンマーは何かしらの力がかかって外向きに”曲がって”飛んでいくように見える。
選手からみて、そのハンマーを曲げているようにみえる力がコリオリの力。
コリオリ力とは
見る人が回転しているが故に発生する慣性力
一瞬とっつきにくいが、仕組みがわかると非常に簡単。
まず、コリオリの力が発生により物体の動きの変化はない。等速直線運動のままである。
ただ見ている人自身が回転する場合に、その人の目線からすると物体の向きが変わっていく。つまり力がかかっている様にみえる(見せかけの力)。これが、コリオリ力と呼ばれる慣性力である。
もう少し具体的に。。
コリオリ力が観察される状況
上からみて反時計回りに回転する大きな円盤があり、その円盤上をボールが等速で真っ直ぐ飛んでいる(通過する)状況を想定する。
そのボールを見ている人が二人いるとする。
- 一人は円盤の外からボールを見る人
(右図の紫色の服)、 - もう一人はまわる円盤の中心に乗ってボールを見る人
(右図の緑色の服)
の二人。
コリオリ力を観察できるのは、円盤に乗りながら同じボールを見ているみている2.の人だけである。
というのも、1.の外から見る人にとっては、ボールは普通の等速直線運動をしているだけで、ボールに入力される力は当然観察されない。
ただ、2.の人から見ると、(本当は自身が円盤に乗っているが故であるが)真っ直ぐ飛んでいるボールに、力がかかり右に右に曲がっていくように見える。
つまりボールに右向きの力が働いている様に見える。
この右に曲げているように見える力が、コリオリ力と呼ばれる慣性力。
身近なコリオリ力
コリオリ力で有名な例は台風の向き。
もう少し身近な使用例だと、スマホの内蔵センサーでの利用(角速度センサ:スマホの角度の検知)。
これは、角速度センサの中の素子を常に一方向内で振動させておいて(上の例でいうと、真っ直ぐに動くボールを投げあっている状態にさせておいて)、スマホに傾き(回転)が発生した場合にその振動さえている素子にかかる力を検知させ(コリオリ力)、そこから角度変化を検出している。
この角速度センサーを3軸、加速度センサー3軸をあわせた6軸(6自由度)測定が6Dセンサ。
(6自由度あるので、剛体の動きを表現できる -> スマホ/ゲーム機のコントローラ等々の空間での位置&姿勢変化が検出可能。)
意外と身近に利用されている。