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[級数] 級数展開のとらえ方からはじめて、テイラーの定理 → テイラー展開 → マクローリン展開のつながりを順に

基礎関数・公式

はじめに

級数展開というと面倒な感じがするが、要は

  • ある関数(値)を数列の和(無限級数の和)に”置き換える事

肝は、”任意の関数(値)である左辺” と ”一定のルールで展開した右辺の関数(値)”が ”=(イコール:完全一致)で結ぶ事ができるコト

数列からはじまり無限級数へ、最初はクイズみたいで ”いつ使うんだよ” 的な感じだったが、結局はここの理解への入口

級数の特徴としては、

  • 任意の関数を、無限に足し合わせた簡単な項の和で表す事ができる(任意関数が分解可能)
    • 例:任意の振動データの周波数解析(フーリエ変換)
  • 足し合わせていく事で精度がどんどん向上する(近似に使用可能)
    • 例:画像Formatのjpeg とかのデータ圧縮
      • 画像生データの周波数分解(関数の簡易化)+(人が認識できない)高周波データのカットによるデータ削減
    • 例:無理数の近似値算出( 例:\( e \)、\( \pi \)、\( \sqrt{2} \)・・・)

もちろん級数展開自体はそれぞれ異なるが、基本、

  • 無限級数化し余りを示す剰余項が”0”に収束するなら、 元の関数は完全再現される

という考え方は同じ

級数展開の書き方

例えば

1 = \( \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{4} + \dfrac{1}{8} + \cdots \) ・・・①

とあれば、数字”1” の(無限)級数展開とは、①式の右辺(分数の足し算部分)を指す。

これを和を表す Σ を使って書けば、

\( 1= \displaystyle \sum_{n=1}^{∞} \dfrac{1}{2^n} \)

のように書く。以降はこの書き方

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テイラーの定理からはじめてテイラー展開、そこからのマクローリン展開

級数展開といえばテイラー展開、今回はテイラーの定理からはじめてテイラー展開、そこからマクローリン展開まで説明
(振動解析ではフーリエ級数を用いたフーリエ展開(変換)となるが、こちらは別途で(覚書化予定))。

テイラーの定理

マクローリン展開は、テイラー展開の限定版。

で、このテイラー展開は ”テイラーの定理” から導かれる。

といった訳で、まずはテイラーの定理から

テイラーの定理

\( f(x) \)は、n回微分可能で連続である時

\( f(x) = \displaystyle \sum_{k=0}^{n-1} \dfrac{f^{(k)}(a)}{k!}(x-a)^k +\dfrac{f^{(n)}(c)}{n!}(x-a)^n \) ・・・②

となる \( a <c< x \) が存在する補

補1: \(f^{(n)}(x) \) : \( f(x) \) の n回微分
補2: \(n! \) : \(n\)の階乗(\(= 1 \cdot 2 \cdot 3 \cdots n\) )

また、この時の最後のn項

\( R_n = \dfrac{f^{(n)}(c)}{n!}(x-a)^n \) ・・・③

をラグランジェの剰余項という。

これが何を言っているかというと、

任意の関数 \( f(x) \) を、とりあえず \( \displaystyle \sum_{k=0}^{n-1} \dfrac{f^{(k)}(a)}{k!}(x-a)^k \) を使い(n-1)個まで級数展開。
で、この級数の総和を\( f(x) \) と一致させる役割(つじつま合わせ)を担うのが、最後のn個目の関数項 ( この部分:\( \dfrac{f^{(n)}(c)}{n!}(x-a)^n \) )。
かつ、この最後の関数項でつじつまあわせに使う \( c \) が \( a <c< x \) の間に存在する、と言っている。

つまり、

\( \displaystyle \sum_{k=0}^{n-1} \dfrac{f^{(k)}(a)}{k!}(x-a)^k \) で任意の関数 \( f(x) \) を分解していき、最後の項において微分の起点を \( a \) ではなく、\(a<c< x\) に存在する \(c\) を使用すれば、この級数展開は元の関数 \( f(x) \) と完全に一致させることができる

という定理

この最後のつじつま合わせの項は、”剰余項”と呼ばれる
(ちなみに、級数展開方法自体も様々なタイプがあり、剰余項にも様々なタイプがある)

さて、このテイラーの定理の級数を無限級数化したのがテイラー展開。

テイラー展開

\( n → ∞ \) とした時に、剰余項 \(R_n \) が \(R_n → 0 \) に収束するのであれば剰余項にこだわらなくとも、\( f(x) \) は無限級数展開で置き換えられる(=最終項である剰余項が”0”におちるため)。
(注:当然、\( n → ∞ \) で \(R_n \) が0に収束しない \( f(x) \) もあるので、全ての関数 \( f(x) \) に適用できるわけではない)

つまり、剰余項が \(R_n → 0 \) が確認できれば、②式は

\( f(x) = \displaystyle \sum_{n=0}^{∞} \dfrac{f^{(n)}(a)}{n!}(x-a)^n \) ・・・④

に置き換える事ができる。これがテイラー展開の式。

マクローリン展開

加えて、テイラー展開の微分の基点を \( a=0 \) とすれば、

\( f(x) = \displaystyle \sum_{n=0}^{∞} \dfrac{f^{(n)}(0)}{n!}x^n \) ・・・⑤

この⑤式がマクローリン展開。要は、テイラー展開の限定版

さいごに

使われ方をイメージするのに、簡単な例を追記。。。

例えば \(e^x \) は、\(n → ∞ \)の時剰余項は \(R_n → 0 \) に収束するので、マクローリン展開 が使用可能。

\(e^{x}=\dfrac{1}{0!}x^{0} + \dfrac{1}{1!}x^{1} + \dfrac{1}{2!}x^{2} + \dfrac{1}{3!}x^{3} + \cdots \)

これを利用すれば、\(e^x \)の近似式が簡単にでてくる。例えば 次数が 3次の精度まででよければ、近似式は

\(e^{x}≒1 + x + \dfrac{1}{2}x^{2} + \dfrac{1}{6}x^{3} \)

としてしまえばよい。、また 同じ精度で \(e \) の近似値がほしければ、\(x=1 \) を入れて、

\(e ≒ 1 + 1 + \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{6}≒ 2.66 \)

と近似値を求める事ができる(ちなみに値の精度をあげたいなら、展開の項数を増やせばよいだけ)。

便利便利。

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