KMZ Russar MR-2 20mm F5.6
広角レンズでレンズ補正しないとニョロニョロが背伸びしたみたいな絵になる事があるが、このレンズは直線は直線でちゃんと写る
(トポゴン型の原型になっているようで)ロシアのオリジナルデザイン。
70年近く前の1958年のブリュッセル万国博覧会(EXPO-58)でのグランプリ受賞レンズの銘レンズ(だと)。


KMZ製の’92年式を中古で購入(4万円ぐらい@メルカリ)。ちなみに、ルサールの初期型は ’58年型、最終型は’95年型。
復刻版もLomoから販売されていたが、既に販売終了?したみたい。ただ復刻版RussarのLomoサイトは残っている。
“Russar MP-2″でサイト検索すると海外サイト含めイロイロとあるので、そちらも。
ちなみに、モデルチェンジ何度かあり年式違いによる差分がちょこちょこある(古いモデルだとフィルターネジなしとか、距離計の目盛りちがいとか)。
詳細はこちら
ちなみに、
レンズの分解清掃で詳しかったのが、RangeFinder.com の
”Russar 20mm F5.6 Serial 3075 – A CLA post about focusing helicoid.” の記事
(https://rangefinderforum.com/threads/russar-20mm-f5-6-serial-3075-a-cla-post-about-focusing-helicoid.4817361/)
← 英語のサイト(ブラウザの翻訳機能頼り)
光学ブロック部分の分解はGIGANTOPTIK.COMが丁寧に書いてある
”[Lens Repair & CLA] Russar MR-2 20mm F5.6의 분해 수리.”
(https://gigantoptik.com/1456)
← こちらもブラウザの翻訳頼り
さて、実物は何はともあれちっちゃくて、びっくりするぐらい軽い(95g)。
トポゴン型の原型の完全対象型、後端のレンズはまん丸の球(結構かわいい)

以下はSpecの覚書
| 焦点距離 | 絞り | 重量 | フィルター径 | 画角 |
| 20mm | F5.6-F16 | 95g | 49mm | 95° |
| 露光面サイズ | 光学構成 | 解像度 | マウント | |
| 24x36 (フルサイズ対応可) | 4群6枚 完全対象 (トポゴン型原型) | 中心 35lnp/mm エッジ 20lnp/mm | L39 |
作例
広角なのに直線が直線できちんと写るので、撮っていてとても気持ち良い。
ちなみに、
- F5.6で、0.92m~∞ のパンフォーカス
- F8で、0.65m~∞ のパンフォーカス
- F11で、0.5m~∞ のパンフォーカス
になるので、夜は(暗いときは)F5.6、昼はF11(一番解像度がよさげ)にしてのパンフォーカスでの撮影が好み。
(->最初に距離計の∞をその絞り値に合わせるだけ)
あとは、シャッター速度だけみてパシャパシャと。結構テンポよくいける。






全てレンズ歪補正なし、でこのレベル
無限大合わせ(オーバーインフ修正)
入手当初、ネットで見ていた作例と違って何かピシッとせんなぁ、と。。
古いレンズだし個体差なのかなぁ、、、一回レンズばらしてみるか?などと思いめぐらせながら、ネットで調べてみると、組付けの精度が悪いので再組みするとよくなるとか、オーバインフ気味なので調整が必要等々の情報あり
で、しばらくして気づいた。こりゃぁ、かなりのオーバーインフ気味の個体だと。
というのも、F5.6 で遠くの建物(無限大)に合わせると、2m弱でピントがあう
(この状態↓)

なぜかこの時F5.6の指標に∞がちょうど合うので、一瞬これはこれでいいか、、、と思ったが、いやちょっと待てと、
近くに寄れないじゃん。。。
で、オーバインフ修正。
オーバーインフ調整
幸いにもL39 → Mマウント化しているので、C/Dマウントレンズのオーバーインフ調整に使う手(ネジ部を利用する手)が使える
(L39のネジ部にシムを追加してのフランジバック修正)。
→ 結論からいえば、今回は厚み0.15mmのシムを入れたら、無限大のピントぴしっと合うようになった。

このシムをアダプターとレンズの間に挟む
<オーバーインフを調整する際のシム厚算出>
- 無限大時のレンズ位置見極め(フランジバック調整量の見極め):全開放(F5.6)+指標を∞に固定して、ねじ部(L39のマウント部)からレンズを丸ごと回転させ、遠くの物体(∞)にピントを合わす
- レンズ回転角の確認:マーキング等により、その時に廻した”回転角”を確認
(今回は被写界深度の深いレンズなので結構幅があったが、大体45°~60°ぐらいの回転させると無限大のピントOK) - シム厚の見極め:L39マウントのねじピッチは 1/26 inch (≒0.977mm)。よって今回のレンズは、
- 0.12mm(=45/360x0.977)~ 0.16mm(=60/360x0.977)の範囲でフランジバックの調整をしてやればよい(=追加シム厚)
- シム厚の決定:この範囲で入手しやすい(既製品)シムから、厚みt0.15 を選択(数百円 大体送料の方が高い。。。)
- 錆びると面倒なので材質はSUS(ステンレス)から
- 内径(φ40)&外径(φ50)はレンズのサイズから
- 今回はAmazonとか楽天でも買えたが、無いときはモノタロウを見ると結構あったりする(厚み違い等)
(時間と送料がちょっとかかる)
- 今回はAmazonとか楽天でも買えたが、無いときはモノタロウを見ると結構あったりする(厚み違い等)
基準指標合わせ
オーバーインフ調整時にレンズを丸ごと廻してその位置で固定させるので、本来真上にある基準の赤三角マーク(△)がずれてしまう。
いつもはまぁいっかとしているのだが、
RangeFinder.com の
”Russar 20mm F5.6 Serial 3075 – A CLA post about focusing helicoid.” の記事
(https://rangefinderforum.com/threads/russar-20mm-f5-6-serial-3075-a-cla-post-about-focusing-helicoid.4817361/)
を見ると、基準の赤△のあるリングも、距離計のリングも共に独立したリングで組付けられている模様
(ねじを緩めるだけで他と関連なく動かせる)。
ではではといった訳で、目安を見失わない様にひとつづつリングを動かして(各リングイモネジ3か所)、基準の赤△を真上に戻して調整完了。
(↓真上に基準の赤△)

追加Note
ちっちゃいレンズで軽いし使い勝手いいし、装着率高し(見た目も好み)。
Mマウントへのアダプタ LM-EA7につけているのでAFも一応使えるが、パンフォーカスメインで使いがちになるので、あまり動かしていない
(気がする)。。
