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[社会の心理] エコーチャンバー現象と同調圧力:エコーチャンバー現象の構造と心理理論との相関図

心理理論概要

はじめに

エコーチャンバーについての記事一覧はこちら。

調べているうちに信念の強化の構造と関連心理理論の関係が、見えにくくなってきたので一旦図式化

エコーチャンバーと心理理論との相関図

エコーチャンバー現象とは、似た意見ばかりに接することで認識が偏り、また自分の考えが多数派であるかのように感じる現象。この現象は情報の同質化も伴う(同調圧力としても働く)。

このエコーチャンバー現象の発生から深化していく流れと、各段階の背景となる心理理論の相関図をまとめてみた。

いろいろな心理理論が絡みあっていることもあり、すぐにあれ?なんだっけ?となるので、pdf版に各心理理論の覚書(青字)のリンクつけておいた。

エコーチャンバー概要

さてまとめてみれば、

概略、人は大量発信による情報への繰り返し接触により、

→ 集団へのカテゴリー化の促進(「自分はこの集団に属する」という認識)
→ 集団アイデンティティの形成と同調行動
→ 集団内での「正しさ」の知覚強化
→ 集団極性化(group polarization)による意見の先鋭化
→ 感情的確信の強化
→ 反対意見の排除促進
→ 同調圧力のさらなる強化
→ 情報の同質化進行(以上を繰り返す)

(注:これらのステップは必ずしも線形に進行するわけではないこと、個人差・集団の性質・情報環境によって経路や強度が異なる点には注意要)

の傾向に巻き込まれる。人がこの情報の同質化とその深化に巻き込まれ、認識(認知)が偏り多数派・主流派であると感じるようになるのがエコーチャンバー。

エコーチャンバーの仕組み

これからみれば、エコーチャンバーを引き起こしやすくする直接的な要因は、「人が繰り返し接触しやすい情報を設計・発信すること」である。具体的には、

  • 注目される情報・主張の設計
    (感情を揺さぶるように設計された情報)
    +
  • 大量の発信拡散
    (同一情報・主張へ繰り返し接触)

の二つが「必要条件」となる。

ただ、この2つで発生の「十分条件」も満たすというわけではなく、後述の社会心理構造も介在して初めてエコーチャンバーが成立する。

具体的には、大量発信された情報に対し、「社会におけるひとの心理」+「社会心理(集団心理)」が作用し

  • 意見の強化(同調強化・先鋭化)
  • 集団に対する所属意識の強化・拡大(カテゴリー化強化)
  • 異なる意見に対する信念防衛(攻撃・排除)
  • 反論抑制(沈黙)

が発生、その情報(主張)が「集団内部」において同質化しながら強化される。

これがエコーチャンバー現象(エコーチャンバー:反響室)となる。

ここで面白いのは、この現象を引き起こすのに元々の情報の真偽自体は、それほど問われない傾向があるという点(発信情報自体が真実でも虚偽でも構わない)。
現実、情報の真偽を問わずエコーチャンバーは発生、成立している。

人は、別の人から同じ情報を聞くと信じやすい(説得されやすい)等の心理傾向も持っていることに加え、一般的には同一意見に繰り返し接触することにより、その情報への信頼感・親近感は高まる傾向をもつ(「真実性の錯覚」(illusory truth effect)・「単純接触効果」(mere exposure effect))とされる。

これに加え発信情報に「感情を揺さぶる」情報設計がされていれば、人に精緻化見込みモデル(ELM: Elaboration Likelihood Model)における「周辺ルート」処理によるの判断をさせやすい。
(周辺ルートによる判断には、情報の「論理的整合性・内容」よりも「感情的手がかり」や「発信者の印象」の方がが影響しやすい。)

これらの結果、内容の真偽検証が十分に行われにくくなる傾向をもつと考えられる。

注:ELMにおける中心ルート/周辺ルートの選択は、受け手の動機づけと処理能力の両方に依存するものであり、周辺ルートが「設計によって一方的に起動させられる」という単純な因果ではない点については注意要。

<注目される情報>の設計についての覚書は以下

SNSとエコーチャンバー

相関図をみてみると、エコーチャンバー現象と呼ばれる意見の強化現象(認識の偏りと多数派であるとの勘違い)はSNS固有の現象ではなく、既存メディアでも同様に生じる(世論形成と同じ構造)。

SNSと既存メディアの違いは、強化ループに入る前の段階にある。

その違いは主に、発信情報の「堅牢さ」と「人へのアクセスの仕方」の二点である。

注:SNS・既存メディアを問わず、各人・各組織の意図が入り込む可能性があるため、ここでの「堅牢さ」とは、見方によって変わる情報の真贋(正しい・間違っている)ではなく、「どの程度事前に事実検証されたか」を指す。

SNSでは発信元が不明であっても情報の真偽が広く問われにくい構造をもつ。

また、情報の拡散に適した特性(マイクロターゲティング:個人レベルでの個別配信、インフルエンサーの直接的影響、低コストでの大規模拡散)を持つことから、エコーチャンバーを引き起こす条件を整えやすい点でSNSは既存メディアより有利に働く場合が多い。

加え、既存メディアがマス(不特定多数:大衆)への情報発信であり、特定個人への直接アクセスが構造的に困難であったのに対し、SNSは特定情報への繰り返し接触を個人レベルで容易に実現できる。

これらの点において、SNSはエコーチャンバー的な心理現象を生じさせやすい条件を備えた媒体とみることができる。

注:SNSが必然的にエコーチャンバーを引き起こすという強い因果関係については、実証研究において異論がある。Guess et al.(2023, Science)は、Facebookのアルゴリズム変更がニュース接触の多様性に与える影響は当初の想定より限定的であったと報告しており、「SNS=エコーチャンバーの温床」という図式を自明視することには慎重さが求められる。

エコーチャンバーの壊し方

エコーチャンバーの働きがそれとなく見えてきたので、今度はそれの壊し方についても調べてみた。覚書は以下

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